足がおぼつかない原因と対策 〜転倒予防のために知っておきたい〜

足がおぼつかない、ふらつくという症状は、高齢者に限らず、幅広い年齢層で起こり得る身体の不調です。その原因は、さまざまな要因が複雑に絡み合っており、軽視できない深刻な問題となる場合もあります。

本記事では、足がおぼつかない原因と対策について詳しく解説します。足元の不安定さに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

原因①：筋力低下

足がおぼつかない原因としてまず挙げられるのが、筋力低下です。加齢とともに筋力は衰え、足腰の支えが弱くなります。特に、下肢の筋力低下が足元を不安定にし、転倒のリスクを高めます。

• 筋力低下の原因

  

  

  • 加齢
  • 運動不足
  • 栄養不足
  • 神経疾患

• 対策

  • レジスタンス運動（筋トレ）
  • ウォーキングや水泳などの有酸素運動
  • タンパク質を十分に摂取する
  • 神経疾患が疑われる場合は、医師に相談する

原因②：バランス障害

バランス障害は、足がおぼつかないもう一つの大きな原因です。バランスを保つには、内耳の三半規管、視覚、筋・関節感覚が協調して働きます。いずれかの機能が低下すると、バランスを崩しやすくなり、足がおぼつかない症状が現れます。

• バランス障害の原因

  

  • 三半規管の機能障害（めまい）
  • 視覚障害
  • 筋・関節感覚障害（末梢神経障害など）
  • 小脳の機能障害

• 対策

  • めまいの場合は、医師に相談する
  • 視覚障害がある場合は、眼鏡やコンタクトレンズで補正する
  • 筋・関節感覚障害がある場合は、理学療法士によるリハビリテーションを行う
  • 小脳の機能障害が疑われる場合は、神経内科を受診する

原因③：神経疾患

足がおぼつかない症状を引き起こす神経疾患には、以下のようなものがあります。

• パーキンソン病
• 脳梗塞
• 多発性硬化症
• 脊髄小脳変性症

神経疾患が原因の足がおぼつかない症状は、進行性のものが多いです。早期発見・治療が重要ですので、少しでも気になる症状があれば、すぐに医師を受診してください。

原因④：薬の副作用

一部の薬の副作用として、足がおぼつかない症状が現れることがあります。代表的な薬は以下の通りです。

• 睡眠導入剤
• 抗不安薬
• 抗うつ薬
• 血圧降下剤

薬の副作用が疑われる場合は、医師に相談しましょう。

原因⑤：その他の要因

上記に挙げた原因以外にも、以下のような要因が足がおぼつかないことに関連している場合があります。

• 貧血
• 脱水症状
• 栄養失調
• 心疾患
• アルコール依存症

基礎疾患がある場合や、生活習慣に問題がある場合、足がおぼつかない症状が現れやすくなります。心当たりのある方は、生活習慣を見直したり、医師に相談したりしてください。

足がおぼつかないときの対策

足がおぼつかない症状の多くは、適切な対策を講じることで改善することができます。以下に、効果的な対策をご紹介します。

筋力トレーニング

筋力トレーニングは、筋力の低下による足がおぼつかない症状の改善に効果的です。特に、下肢の筋力を鍛えることが重要です。おすすめの筋力トレーニングは以下の通りです。

• スクワット
• レッグプレス
• カーフレイズ
• 太もものストレッチ

無理のない範囲で、少しずつ負荷を増やしながら行いましょう。

バランス運動

バランス運動は、バランス障害による足がおぼつかない症状の改善に効果的です。おすすめのバランス運動は以下の通りです。

• 片足立ち
• タンデム歩行
• バランスボールを使った運動

最初は簡単な運動から始め、徐々に難易度を上げていきましょう。

生活習慣の改善

生活習慣の改善は、足がおぼつかない症状の予防と改善に欠かせません。以下のような生活習慣を心がけましょう。

• 適度な運動を心がける
• バランスの良い食事を摂る
• 十分な睡眠を取る
• 禁煙する
• 節酒する

補助器具の活用

足がおぼつかない症状が重い場合は、補助器具を活用することで転倒リスクを減らすことができます。おすすめの補助器具は以下の通りです。

• 杖
• 歩行器
• 車椅子

補助器具を選ぶ際には、医師や理学療法士に相談することが大切です。

足がおぼつかないときの注意点

足がおぼつかない症状が出た場合、以下のような点に注意しましょう。

• 転倒予防
  • 転倒リスクのある環境や行動を避ける
  • 滑りやすい場所には注意する
  • つまずきやすいものを片付ける
• 速やかに医師を受診する
  • 足がおぼつない症状が急に現れた場合
  • バランス障害が著しい場合
  • 神経疾患が疑われる場合

足がおぼつない症状を放っておくと、転倒による骨折や頭部外傷などの重大事故につながる可能性があります。少しでも気になる症状があれば、すぐに医師を受診しましょう。

足がおぼつかない症状の予後

足がおぼつかない症状の予後は、原因によって異なります。筋力低下やバランス障害など、加齢や生活習慣が原因の足がおぼつない症状は、適切な対策を講じることで改善が見込めます。一方で、神経疾患が原因の足がおぼつない症状は、進行性のことが多いです。早期発見・治療が重要ですので、少しでも気になる症状があれば、すぐに医師を受診してください。

参考資料

• 厚生労働省「高齢者における転倒予防ガイドライン」
• 日本老年医学会「高齢者における転倒予防に関する提言」
• 日本理学療法士協会「転倒予防のための運動プログラム」